WWDCとは、Appleが毎年最新のiPhoneを初めiPadやMac、AppleWatch等のOS最新情報や新製品を発表したりコミュニティの交流の場としてのオンライン/オフラインのイベント。
2022年には新型のMacBookや開発が進んでいるiOS16の機能アップデート内容等がこの時発表されました。
Appleシリコン(M2)の性能についてもこの時発表されています。
WWDC発表 新製品情報
恒例の新製品ですが、MacPCに関するものが多くなりました。
新型MacBookAir
M2搭載のMacBookAirは今年15インチモデルが登場しました。
これまで13インチが基本であったMacBookAirですが、フルスペック版のM2を搭載し1,190$でラインナップに追加。
これまでの13インチAir等に搭載されていたM2では搭載GPUコアが7コアとなったモデルと10コアのモデルが有りました。
15インチAirではGPU10コア版であるフルスペック版のM2チップを搭載します。
M2ULTRA登場
M2世代のチップで最大かつ最強となるM2ULTRAと搭載機種のMacStudioも新製品として登場
また拡張カード対応のAppleシリコン搭載MACProも登場しました。
それぞれ映像や3Dグラフィックス関係の業務用をターゲットとしたフラグシップモデル。世代最高クラスの性能を持っています。
ARゴーグルの予告ーAppleVisionPro
今年のWWDCでも最も時間が割かれ、ネットでもすでに話題となっているARゴーグル「AppleVision Pro」が登場。
ここ数年から予想と噂があったappleのAR/VR製品の正体が明らかとなりました。
想定されている使い方の様子はVR製品やAR製品では馴染みのある物となっています。
Appleのこれまでのコンテンツ資源や横断的な製品間のシステム環境に組み込まれるARゴーグルはAppleシリコンとしてM2チップを採用する他、各種センサーを処理するためのR1チップも新たに搭載するとの事。
コントローラーを使わない操作方法や片目4Kの解像度等、ハード面での注目が高くなります。
専用アプリ等の使用については今後より詳細が公開されるのではないかと思います。
販売は来年初旬、3,499$で予定。日本円だと50万円ほどになりそうです。
関連:Apple Vision Proが登場 — Appleが開発した初の空間コンピュータ(Apple)
注目はスタンドアロン型(PCと接続不要)で特にM2チップ搭載であること、片目4K解像度というスペック。
これは映像品質と搭載処理性能からかなりの期待感があります。
(ちなみにスタンドアロン型VR機器のMetaQuest2は片目1,832×1,920と4Kの七割ほど)
ARでは現実に仮想の映像を重ねるという違いはありますが、筆者はVRでの仮想のマルチデスクトップと作業空間については試したことがあり、仮想的な三次元の作業空間というものは一定の需要がある運用法です。
Appleの「空間コンピューター」という概念には興味を引かれます。
VRゴーグルのようなデバイスは解像度が一つの性能の足かせとなっている他、PCと接続しないタイプでは処理性能という点も課題があり、今回の発表内容は最終的な製品への期待値が高くなります。
OSアップデート
こちらも恒例の大型OSアップデートです。
アップデートの対応機種が一種の端末の寿命と言えますが、新機能と新製品への買い替えの良いタイミングともいえます
iPhoneOS
前回のiOS16で対象外とされたiPhone7につづき、iPhone8、Xが対象外の機種となりました。
iOS17対象機種はXsを含むそれ以降の機種となります。
iPhone8と同時にiPhoneXが対象外となったことを意外と感じる方も居るかもしれませんが、 iPhone8とXは内蔵しているチップが同等のものとなっている為、同じタイミングで対象から外れたこと自体は不思議ではありません。
性能面で言えば経年によるバッテリーの劣化さえケアするとまだまだ使えるという印象がありますが、今回で対象外へ。iPad、AppleWatchでも言えますが年々のOS対応から考えると買い替え先の機種選択も重要となりそうです。
アップデート内容についてはアプリへの新機能追加や拡張が主となっています。
・電話の機能拡張
電話アプリについては大きな変化があります。
留守電時には伝言メッセージを残せますが、音声がリアルタイムで文字起こしされテキストメッセージとして受信者に伝えられます。
また、電話(端末)にプロフィール画像を設定することが出来るようになり、設定した写真とロゴが電話相手に表示される様になりました。
・FaceTime
→録画でメッセージ機能、応答が無い場合でも後から共有可能な音声とビデオメッセージ機能が実装
・iMessage
→位置情報利用した確認機能の追加、メッセージ内で写真をスタンプできたり検索機能の強化等
・Airdrop
→端末を近づける事で転送やコンテンツ共有(音楽再生やビデオ再生の共有、ゲームのプレイ)が出来る様に。
→端末間での受け渡し中に離れた場合でもネットワークを中継して転送可能
その他にも細かな機能の拡張が予定されています。
リリース時期は秋を予定。
関連記事:iOS 17でiPhoneがよりパーソナルで直感的に(Apple)
iPadOS
・ロック画面のカスタム壁紙機能に対応。
iPhoneにおいてiOS16で実装された様な壁紙のカスタム機能に対応します。
・メモアプリの強化
PDFファイルの内容を認識することが可能となり、アンケート用紙のような形がPDFにある場合はその入力エリアの検出を行い、文字の入力ができる他、リアルタイムでPDFへの変更(アウトラインやコメントの書き込みなど)を共有しながら複数人での作業が可能に。
他にもウィジットでのアプリ操作、iPhoneで実装される様なMessageやFacetimeの機能強化がiPadでも行われます。
リリースは秋以降を予定
関連リンク:iPadOS 17、iPadに新たなレベルのパーソナライズと汎用性を提供(Apple)
MACOS
MacOSもアップデートが予定されており、OSは「Sonoma」と名付けられていす。
OS名はこれまで恒例となっているカリフォルニア州の地名から。
・動く壁紙(スクリーンセイバー)追加。
ちなみにスクリーンセイバーは操作していない時の画面焼けを防止する目的があったりします。
・ウィジットアプリの変化
ウィジットアプリをデスクトップ上へ自由配置が可能に。
他、アプリの使用状況に合わせてウィジットがグレーアウトするなど常駐するときの動作にも工夫があります。
iPhone等が接続可能な近辺にあればiPhoneからMacへウィジットの追加が可能に。
・ビデオ会議においてリアルタイムの人物と背景の処理が可能に。
バックグラウンドに資料の展開をする、資料を提示しながら話者をワイプで挿入する他、ジェスチャー似合わせて紙吹雪の効果を差し込むといった演出が可能になるとか。
・ゲームモード追加
PCではGPUドライバ等でありがちな、ゲーム起動時にMac内のシステムの処理の管理と制御が行われ最適化する機能。
ゲームとそれ以外のアプリ(ウィジットや起動しているその他アプリ機能)のメモリやCPUの処理能力の分配を制御し、より多くの処理能力をゲームへ割ふるなどして快適性を上昇させるもの。
(背景にはM2以降GPU性能が特に向上しているためゲームも現実的なラインとなった事があるとみられます)
その他、ブラウザ(Safari)の強化や入力機能などアップデートが予定されています。
MacOSのリリース予定はこちらも秋予定との事。
アップルウォッチOS
・操作や文字盤の変更(トップ画面からアプリ(ウィジット)選択と操作が出来るように。
文字盤ではキャラクターとコラボしたアニメーション対応の物も追加が予定されています。
他にも位置情報によるナビゲーション。健康管理機能等の強化が予定されています
関連リンク:Apple Watchのマイルストーンとなるアップデート、watchOS 10が登場
余談
昨年は新製品としてM2搭載Macがメインで、一部からは新製品に期待した所から肩透かしの声もありました。
しかし今年はARゴーグルのお披露目もあり非常に盛り上がりを感じます。
個人的なところではM2以降の性能向上を背景としたMacゲームモードの搭載はAppleのゲーミング分野への参入の本気度を伺えるような気がします。
メタルギアシリーズ等を手掛けゲーム開発者としても特に有名なゲームクリエイター(小島秀夫)が直接登場、ゲームタイトルのリリースを直に予告しています。すでに家庭用ゲーム機では発売されているタイトルではありますが、これまでMacOSでのゲーム事情は独自OSであることから対応するタイトルは限られる物でした。
関連リンク:「天使にラブソングを」出演女優がMacでゲームが出来ないことに困惑(IGNJapan)
このような状況を打開するゲームのMac版移植・開発用キットの提供のアピールと同時に行われた実際のPRとしての「DEATHSTRANDING」のMac版リリース発表は期待感があります。
文:玉谷