スマートホンにとってバッテリーは生命線といえる物ですが、バッテリーは使用を続けているとバッテリーは傷み、品質や性能が低下していく形でだんだんと劣化していきます。
スマートフォンを使用する限り充電は必要となり、充電を行う以上はバッテリーの劣化は避けられません。
しかし、使い方や充電の方法によっては劣化を抑え、より長持ちさせる事が出来るかもしれません。
バッテリーの「寿命」はどのくらい?
まず、バッテリーの劣化と合わせて、そもそもバッテリーの寿命はどのぐらいなのか気になるかもしれません。
結論としては、このぐらい使えば壊れる、使えなくなるといった明確な寿命というものは設定されていませんが、一般的には500回程度の充電回数が寿命というふうに言われることがあります。
500回と言われている理由は一つの目安として、iPhoneの製造、販売を行っているApple社が公開しているテキストの中で
「iPhoneのバッテリーは、フル充電サイクルを500回繰り返した時に、本来の容量の最大80%を維持できるように設計されています」
出典:バッテリーのサービスとリサイクル(Apple公式サイト)
以上の様に公開している事が一つの理由と考えられます。
500回を超えた状態でも電池の持ちが悪いと感じる事は有るかと思いますが、それでも通常どおり使用可能です。
あくまで、劣化の速度と性能低下度合いが充電500回で80%程度までに抑えられている、という事です。
当店で確認している範囲では、800回〜900回程度まで充電回数を重ねていてもスマートフォンの起動と使用は出来る様子ですが、劣化は最大容量も60%〜70%まで進行し、充電の持ち以外にも勝手に電源が切れるといった症状が出ている場合もありました。
ちなみに、500回程度の満充電回数は、アプリや動画の利用が多く毎日充電するような場合では二年程度の期間と考えることが出来ます。
いたわり充電はBTを長生きさせる方法の一つ
充電を続けるとどうしてもバッテリーが劣化して行きますが、劣化を抑えてより寿命を長くする方法もあります。
スマートフォンにはいたわり充電と呼ばれる機能を搭載している製品があり、これはバッテリーの充電をある割合までに制限を行い、過剰な充電を行わない機能です。
充電を制限する事で過充電を防ぎ、これによってバッテリーの寿命をより長くすることが出来ます。
スマートフォンでは特にAndroid系OSを搭載している製品で普及が進んでおり、iPhoneでは2023年発売のiPhone15シリーズで搭載される運びとなりました。
設定方法
設定方法は簡単。
設定アプリからバッテリー、バッテリーの状態と充電、充電の最適化を選択し、上限を設定する事で可能になります。
注意点としてはiPhoneに搭載されているバッテリーの充電容量の80%まで充電が行われる様になる為、連続して長い時間使用したいと考えている場合には不向きかもしれません。
(例えば、iphone15は20時間のビデオ再生が可能ですが、80%充電では16時間のビデオ再生になります)
逆にバッテリーの消費が多くなるゲームアプリを好んで遊んでいるユーザーで充電を行いながらスマホを使うことが多い場合では元の充電量が多くなる為、あまり効果が無い可能性があります。
普段バッテリーを多く消費しない場合は制限を行う事でスマホのバッテリーが長持ちするためバッテリー交換や買い替えといった出費を抑える事が出来るかもしれません。
また、買い替えの時の再販(中古売買)価格で減額を避けられる事もメリットになる可能性があります。
※当店はバッテリーの劣化(最大容量)を対象とした減額は有りません。
ただし、買い取り店によっては大きく減額を行っている場合があります
バッテリーが早く痛む使い方は?
バッテリーが痛む原因は内部の仕組みや性質が関係しており、使用状況によって劣化のスピードが変化します。
一般的な範囲で、バッテリーの劣化を早める理由は以下の様になっています。
1.過充電
まず、充電の量を抑える理由にもなっている「充電のやり過ぎ」
充電率や電圧が高くなっている状態では劣化が進みやすく、バッテリー内部でも素材が電気化学的に不安定な状態になると言われています。
バッテリーの性能試験結果では100%の充電率では特にバッテリーの劣化が早くなるとしています。※1
2.過放電
逆に、充電を使い切った状態で長時間放置することもバッテリーが劣化する原因の一つになっています。
スマホは電源がつかない状態(0%)でもバッテリー内部にはわずかに電力が残っており、ここから更に放電が進んで行く事で過放電が引き起こされます。
また、バッテリーは使用していない状態でも自然に放電していく特徴と合わせて、長時間放置されてしまうと内部の素材が溶けるなどのダメージがあり、電源がつかなくなる可能性があり、スマホ以外でもバッテリー搭載製品でしばらく使わない場合はすこし充電しておくのがオススメ。
3.使用量
充電の使用量が極端に多い場合もバッテリーが傷みやすいとされています。
バッテリーの構造と充電放電の特性として、バッテリーの使用には段階的なステージが存在しておりステージを高い段階や段階を跨ぐ形で充放電が行われると劣化が進みやすいとされています。※2
このため、バッテリーの消費量が大きいほどステージをまたぐことになり、そのような状況では比較して傷みやすいとされています。
そのため、同じ充電回数でもより劣化している端末とより状態の良い端末が存在することになります。
4.高温と低温の環境
バッテリーは温度の影響も受けます。
高温の環境ではバッテリー内部の材質や科学的な反応が加速されることが理由になっています。
一般的にはバッテリーが安定して性能を維持できる温度の範囲として、5度〜35度が目安と言われており、特に高温環境でバッテリーの劣化についてはリチウムイオン電池の劣化挙動調査でも報告さています。
充電量50%程度の状態で、気温25度では400日後でも劣化はほぼ無く、40度では94%、60度では80%程度まで最大容量の劣化の進行が確認されています。※3
※実際は製品の品質で上下すると考えられます。
気温の関係から単体で40度以上の高温にはなりにくいく感じられそうですが、実際は充電や使用状況に応じた発熱があるため、気温と合わせて夏場は特にバッテリートのトラブルが起こる可能性が高まります。
車内放置等は避けたほうが無難そうです。
※1※2※3
参考:リチウムイオン電池の劣化挙動調査
※2
参考:in situ XRDを用いた充放電時のグラファイト負極材の構造変化
※2
参考:充放電しているリチウム電池の内部挙動の解析に成功―中性子線を用い非破壊かつリアルタイム観測により実現
おわりに
バッテリーの寿命は明確な目安は有りませんが、Appleは満タン充電で500回分程度の充電を行っても劣化は80%程度を目安として品質を設定していますが、劣化の度合いは使用する環境などで変化します。
長持ちさせる方法の一つとしてiPhone15以降では充電量を80%までにする「いたわり充電」機能を搭載しています。
満充電の状態で充電を続けるといった使用方法はバッテリーの劣化が早くなる事があるため、充電量を抑える事でバッテリーの劣化を抑えられる可能性があります。
満充電のほかにも高温や一度の消費充電量が大きい場合や充電がなくなったまま放置するといった行為でバッテリーの劣化が早くなる可能性があります。
バッテリーが極端に傷んで劣化が進んだ場合、充電の持ちやスマホ等の電源が入らなくなる事がありますが、使用状況に大きく左右されるため、バッテリーの充電回数やバッテリー持ちが悪くなったとしても急いで買い替えや修理が必要になる訳ではない為、使い方と都合で買い替えや修理を検討すると良いと思います。
また当店はバッテリーの劣化(最大容量の低下)を理由とした減額は行っていないため、端末の売却をお考えの際はぜひ当店をご利用ください。
(電源がつかない場合は買い取り対象外となりますのでご注意ください)
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文;玉谷